LIGHT AND DISHES no.22 レポート「編集という仕事」

あだちさん

今回は、新潮社の編集者、足立さんがゲスト。事前に、彼女が会の進行をやりやすいようにと、チャプター的なプリントを作って持ってきてくれました。または、私への気遣い・・のようにも勝手に思い、最初からうれしいスタートとなりました。

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足立さんの基本的なお仕事の流れを説明してもらいながら、実際に編集を担当した書籍を手にとって見て、それぞれの本についてのエピソードなどを話していただきました。

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出版社としては、文芸の分野では知らない人はまずいない、トップレベルの新潮社に所属され。文庫本、単行本、新書、そして雑誌と関わる対象は多岐にわたり、全てにおいてクオリティは既知の通り。
足立さんは、雑誌では「考える人」の編集、そして単行本、新書と多くを担当されています。単行本については、装丁のデザイン、装丁に使われる紙の種類にまで丁寧に関わられていて、著者とはもちろんのこと、装丁のデザイナーとのコミュニケーションも密にとられているということです。
担当された『数学する身体』 (森田真生著)では、装丁に使われた紙もこだわったものになっていて、この本は、小林秀雄賞も受賞されたということで、想い出深いものになったようです。本は、内容が素晴らしいものでも、手にとってもらう最初の印象は装丁や手触りだったりするわけで、本の顔が出来上がるまで、編集者としてはしっかりと関わる姿勢なのですね。

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今回、私が一番興味があったのは、担当された『世界一美しい本を作る男 シュタイデルとの旅 DVDブック』のこと。
私は、なぜこのDVDブックを作ろうと思ったのかから知りたかったので、お話しを食い入るように聞いていました。
ドキュメンタリー映画「世界一美しい本をつくる男」、公開初日に行かれたという足立さん。見てすぐに取材交渉を直接されたそうです。私もこの映画を見て、すごく感動したのを覚えています。
シュタイデルさんは、雑誌「考える人」を知っていて、気に入っていたそう。取材後には、他の号もみたいとリクエストもあったそうです。足立さんからの依頼を快く受け入れてくれて、取材はスムーズに始まったとか。
「考える人」は、すべて日本語の雑誌ですが、シュタイデルさんは雑誌の構成や文字組み、写真のレイアウトなどを見るだけでクオリティの高さがわかったそうです。なんて、素晴らしい出会いだったのでしょうか ! 聞いていてもドキドキしました。

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日本での、産業としての本作りについてのお話にも驚きました。たとえば、函入りの本の「函」をだんだん作れる人がいなくなってきている現実。それぞれの専門的な技術を持つ人も減ってるそうです。そのようなことを聞いていると、本はひとつのプロダクトであり、ものづくりのストーリーをちゃんと持っているものなのだと思いました。編集者は入稿、校了のプロセスを経て、自身が発売、宣伝まで立ち会っていくことも少なくない。もちろん、装丁にも関わり、まさにプロデューサーなのだと思います。
現物の本が出来上がって、手に取る瞬間。そして書店の店頭に並び読んでもらえる喜びを感じると、生みの苦しみもあると思うのですが、この上ない幸せな状況を味わっているのかもしれません。

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足立さんは、書評サイトHONZでの活動もされていて、これは会社とは関係なく個人として参加されているとのこと。本に関わる様々な方々と一緒に不定期に書評を書かれていて、私もこのサイトを見ていくつか購入した本があります。
こうして、読み手に本の魅力を伝えることも熱心にされていて、編集者でありながら、読者へメッセージを送ることも忘れていません。
今の時代、本というメディアとネットの世界との比較や、関心の度合いが気になるところですが、足立さんは紙媒体とネットとでは、文章のあり方や書き方が違うと言います。それぞれが魅力や価値をもっていて、共存していくことが良いということでしょうか。本を介して、様々な人や世界を結びつけていくことに醍醐味も感じられているという足立さん。

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私は、これまで友人としていつも話を聞いたり個人的な会話を楽しんできたりしましたが、今回参加された方々と一緒に足立さんのお仕事の話を聞いて、本の編集という専門分野の凄さを知りました。著者との出会いや、書籍の企画、製作の経緯を聞いていて、独特のセンスと視点があると思いました。益々今後の足立さんの担当する本が待ち遠しくてなりません。後半では、参加者のみなさんの質問に応えてくれたり、それぞれと丁寧にお話しをしてくれて、とても素敵な会となりました。
足立さん、みなさんありがとうございました。

店主 : 谷田宏江

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