つくり手たちと

今年9月から、照明コンサルティングの仕事で月一富士吉田に行っています。その度に富士山の美しさに感動しています。

2019年、本当にたくさんの方々のおかげで1年を終えることができました。ありがとうございます ! さて、この年どんなことがあっただろうと、カレンダーを1月からザッと見てみると、相変わらず慌ただしく日々を過ごしていた様子がうかがえます。いくつか、印象的なことがあったのでそれらをキーにお伝えしていきたいのですがご存知のように、私は照明に関するいくつかの仕事もしており、たにたやを” 照明 “のことを伝える場としても考えています。ですので、照明のこと、食のことを織りまぜる感じで書いていきます。

飲食空間の明かり

ガラスのペンダント照明の製作依頼を受けた、森枝幹さんプロデュースのタイ料理レストラン「チョンプー」(渋谷パルコ4F)

私は、休みの日や時間があればいろんなお店に食べに行くことを楽しみの一つとしていて、今年も新たなお店との出会いがたくさんありました。1月早速に行ったのは、三茶と下北の間にある「Salmon&Trout」 友人や食好きの人たちの中では話題で前から気になっていてところ。ここで出会ったのが、料理人の森枝幹さん 、 その後自身がプロデュースする新たな飲食店の意匠照明の依頼をいただきました。この前の年に、モダンベトナミーズレストラン「アンディ」 の照明リノベーションのお仕事をいただいてましたので、これもまたご縁を感じました。何れにしても、食を提供する人たちが、空間つくりの中で照明を大事に考えてくれていることが嬉しいのです。それから、私も飲食店をやっているハシクレとして彼らの思いやこだわりを理解できる一人でありたいと、心から思いました。森枝さんのプロデュースするお店は、昨年11月新生、渋谷パルコの4Fにオープンした タイ料理レストラン「チョンプー」(写真) です。

ワインのつくり手のところへ

SIEMANのブドウ畑

4月、初めて念願のワイナリーに行ってきました。たにたやで扱っているイタリアワインのインポーターさんのアテンドでイタリア北部、ワイナリー2箇所とつくり手2組みに会ってきました。

SIEMANの醸造所側のテラス。ここから見える夕日が美しい

ベネト州ヴィチェンツァのSIEMAN は兄弟3人で経営しているワイナリー。オーガニックで土着品種のものや、ビールも醸造していました。初めて見渡すブドウ畑は私にとってとても広大に見え、驚きました。彼らのホスピタリティにも感動で、どれも丁寧につくられたこだわりのワインをたくさん試飲させてもらいました。

Villa Jobのブドウ畑。ハーブの香りが心地よい

次に訪れたのが、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウディネのVilla Job  教会のすぐ隣にあるワイナリー。こちらのブドウ畑に行った時、ハーブの爽やかな香りがあたりいっぱいに広がっていたのを覚えています。自生しているハーブが土ととても相性が良いようで、ワインの香りも優しいハーブの印象があります。ご夫妻で経営しているこちら。ランチをご馳走になりましたが、奥さんの料理のセンスが素晴らしく一皿一皿がワインを美味しく感じさせてくれました。

ワインのエチケットはどれもセンスが良く、ネーミングもカッコいい

ワインのエチケットもモダンでウィットがあり、ご自宅やワインの出荷作業をする部屋のインテリアなどこっそり見ましたがとってもカッコいい ! こちらVilla Jobさん、今年の3月東京に来る予定、その時たにたやでメーカーズディナーができたらいいな・・なんて思っています。センスの良さというのは、ワインの味はもとよりもそこに関わる一つ一つにも滲み出るものなのだと強く感じました。

Villa Jobのワイン出荷作業をする部屋の入り口。なんてセンスがいいのか・・とため息

料理を味わい深いものにするもの

一昨年、そして去年の最初の方に常連のお客さんたちと”フルーツと料理”をテーマに、様々な果物と料理を研究する会を不定期で行っていました。2月には宇和島のみかん農家さんと「みかんの会」。普通のみかんから、ブラッドオレンジなど、なかなか生産が難しいとされるものまで造られていて、本当に生産者の方々の情熱に感銘を受けます。そのまま食べても極上の美味しさなのですが、それを料理に使えないかということを考えます。それによって”果物”というカテゴリーをもっと広く”食材”や”スパイス”として捉えることでイメージが豊かになり、さらに多くの人や場に浸透させて行くことができる。料理も生業としている私は、微力ながらつくり手である生産者のみなさんのことを伝えていけると思い感謝を込めて挑戦しました。

にっこりんごのパッケージデザインは、常連さんの友人のイラストレーターの方。

その後、常連さんの故郷秋田のりんごを使ったりんごジュース、「にっこりんご」 というジュースに出会います。これは、りんごジュースというイメージを超えて、私にとっては貴重な調味料となっていきました。クローズドではありましたが2度ほどにっこりんごを使った料理の会を開催し、嬉しいことに集まってくれたみなさんから好評をいただきました。甘ったるくないので、料理を邪魔しないのと砂糖やみりんの代わりになる奥深さ。果物には本来の自然な甘さがあります。この特徴は精製された調味料に勝る何ものでもないと本当に気づかされました。(*にっこりんごの売上の一部は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の研究団体に寄付されています。)

にっこりんごを使った、豚バラのにっこりんご煮込み。人参も美味しく仕上がりました。

5周年という奇跡と重みと

5周年記念手ぬぐい

2019年は、たにたやが5周年を迎える年でもありました。さすがに、5周年ですよ ・・! 気づけばと言うと月並みですが、ただ、ただ走り続けてきただけな気がしていて、”時間”というのは、驚きと覚悟をもたらしてくれるものなのだなと心底思いました。5年前、飲食店は客として行く以外何も知らなかった自分が店を経営し、料理や飲み物を提供する側になり、無我夢中で・・・と言うのはこういう時に使う言葉ですよね (笑) これも一人で成し得たものではなく、一緒につくってきたお客さん、仕入先さん、照明事業の関係の方々のみんなとの5周年だと思っています。

2年前に法人化しました。それによって、たにたやは株式会社 LIGHT & DISHES の飲食部門に。さらに、光を伝える食の場と言う意味あいが強くなってきました。本当にこれでよかったんだろうか ? と思う場面は多々あり、つまずきそうになったり、間違いや不安、、などなど。でも、ここにきて間違いは多くの正解の選択肢となり、不安は期待になるしかないという開き直りと強気になりました。そんな状況がつくった5周年を記念して、たにたやのロゴやマークをデザインしてもらったスワミヤさんにデザインしてもらい、オリジナル手ぬぐいをつくりました。手ぬぐいの老舗、かまわぬさんの製作です。形にしたものを目にすると、本当に5周年は奇跡から現実として突きつけられるものとなりました。手ぬぐいまでつくって、落ちていくわけにはいません ! 覚悟を持ってこれからもみなさんの心地よい場所にしていきたいと思うのです。5周年まで支えてくれたみなさんに感謝 ! 5周年ウィーク(11日間ノンストップ営業)を今回も決行。いらしたみなさんに、心からのお礼とともにこの記念手ぬぐいを差し上げました。

つくり手と伝え手

5周年ウィーク後、月末からロンドン、ブラジルの旅に。大好きなアーティスト、オラファー・エリアソンの展覧会(TATE MODERN)に行ってきました。アルファベット順にオラファーのメッセージが。「K」はキッチン、「L」には”LIGHT IS LIFE” まるで私のライフスタイルそのもの !

恒例のLIGHT AND DISHES イベントは2019は3回開催。少し、ペースダウンですが、このイベントはこれからもっと丁寧に、1回1回を密度のある大切なものにしていきたいと思っています。ゲストできてくれた方々は、それぞれの分野の中でも認知の高い人たちです。1月の小室登子さんは、人と人をクリエイティブな視点で繋げるプロフェッショナル。地域と人、クリエイティブな人や企業を世に広げることをされています。6月の芦沢啓治さんは建築家であり、ものつくりとその担い手を自身のミッションのように伝えている人。10月の長山智美さんはインテリアスタイリストであり、インテリアブランドの奥深いところまで知り尽くし、空間やメディアの場で多くの人たちに発信しています。彼らの存在があってこそ、つくり手、担い手たちは認知を高められています。

ロンドンの後に向かったブラジル。写真はブラジリアのオスカー・ニーマイヤー設計のカテドラル

“伝え手”とは、あまり聞かない言葉かもしれませんが、確実につくり手を、必要としている人たちに届けているのです。学んだのは、彼らとつくり手たちの間に温度差がないのではないかと言うこと。それは私も常々心していることで、つかう人、伝える人の方に驕り、慢心があってはいけない。

コールラビ。ロンドンで出張料理をした時、日本の蕪に代わるもの・・ということで。美味しかったです !

お客さんと店(たにたや)は対等という考えは5年前から一貫して変わりません。お気付きかもしれませんが、私は、「いらっしゃい」と言い、「いらっしゃいませ」と言いません。言葉一つの端々から関係性がつくられていくと思っているので、できるだけ距離をつくりたくないのです。最近、近所で或るお店をやっている方が来て言っていた言葉があります。「お店に自分が行く時、”食べさせていただいている”、”飲ませていただいている”、っていつも思っています」 と。あまり言葉数の少ない方ですがとても鋭く伝わってきました。その方も含め、素晴らしいものをつくっている人のものつくり(飲食や食材、他モノも全て)に対する意識に尊敬の念が絶えません。

ブラジリア のオスカー・ニーマイヤー建築のミュージアム。中も圧巻でした !

食材の生産者、お酒の蔵元、ワインの醸造者、器の作家さん、空間の素材をつくっている人または会社、照明の一つ一つのパーツをつくっている人または会社、全てのつくり手の思いを受け、尊敬を以って仕事させてもらっています。口に出して言うことでなく、いつも意識していくことなのではないでしょうか。2020年が始まりました。今年は、たにたやはちょっと不定休な形になるかもしれません。また新しいことに挑戦していくこともあり、それはたにたやの場づくり、食に良いフィードバックにしかならないことをやっていきます ! そしてまた多くのつくり手たちとの出会いを期待しています。どうぞ、今年も楽しみにしていてください。

ブラジル サンパウロのポンデケージョのスタンドで。

店主 : 谷田 宏江

*2019、美味しく学ばせてもらった訪れた店   / (国内) チャイナハウス(幡ヶ谷)、Vino Vino(前橋)、Salmon&Trout (下北沢)、アンディ(外苑前)、Bar KAY(門前仲町)、焼き鳥 さくら家(日本橋)、よしろう(鎌倉)、桑風庵(群馬)、焼鳥&ワイン Shinori(武蔵小山)、やきとり基久屋(池尻大橋)、東白庵かりべ(神楽坂)、春風駘蕩(祖師ヶ谷大蔵)、CICADA(表参道)、O2(清澄白河)、レピック(神保町)、カツカミ(前橋)、傳(外苑前)、Jicca(幡ヶ谷)、La Bonne Nouvelle(京橋)、efish(京都)、フォーンヴィエット(京都)、なにわ料理 有(大阪)、碓屋(京都)、大鵬(京都)、Old school(京都)、桜一(三軒茶屋)、月島ろくのぶ(月島)、カンティーナ カーリカ・リ(都立大学)、築地本願寺カフェTsumugi(築地)、Trattoria Colle(水天宮)、Textura(日比谷)、Argile(銀座)、Saisir(滋賀県草津)、ひっとべ(大阪)、Tsukiji Paradiso(築地)、くりはら屋(湯島)、桃の木(門前仲町)、添好運(日比谷)、水炊き 鼓次郎(田町)、Sublim(麻布十番)、かに福(日本橋)、チョンプー(渋谷パルコ4F)

(海外) Amber(ストックホルム)、Woodstockholm(ストックホルム)、baia chia(ミラノ)、Osteria del treno(ミラノ)、A Santa Lucia(ミラノ)、La brisa(ミラノ)、Fonderie Milanesi(ミラノ)、Trattoria dei Commerciati(ピエモンテ)、Lokanda Devetak (スロベニアの国境近く)、CLUB GASCON(ロンドン)、Westerns Laundry (ロンドン)、Coal Office(ロンドン)、Adega Santiago(サンパウロ)、Vista(サンパウロ)、Balaio(サンパウロ)、Bar da Dona Onça(サンパウロ)

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