LIGHT AND DISHES no.23 レポート「伝わるうるし」

きりもと

桐本さんは、展示会やキリモトのお店に来てくれる人からよく
「これって普通に洗っていいんですか ? 」と言われるそうです。
実は、私も今回これに近いようなことを聞いてしまいました。
一品目の、大根なます稲荷を出す時に、お借りしていた漆器のどれを使うか最後まで悩んでいたので。「お敷(四角い拭きうるしの盆) の上に、そのまま料理をのせていいですか ?」と。漆器は、とても高価なものなので、慎重に扱わなくてはいけないのではないかと思っていましたから。

きりもと料理 のコピー

油や、高温のもの(90度くらいまでのもの)でも、気負わずに普通に他の材質の器と同じように扱ってよいのだと言います。そして、洗う時も中性洗剤を使ってスポンジで洗ってよいそう。このようなことを、桐本さんは今まで、なんどもなんども繰り返し丁寧に伝えてきているということを改めて知ります。
今回、貸していただいた器は、大正時代のものから輪島キリモトで人気のラインのものまで様々な種類のものがありました。お椀も、皿も、匙も盃もすべて手触りや食感が本当に良くて、直接口をつける盃や匙などは口当たりがよいというよりも、お料理が2倍くらい美味しく感じます。
桐本さんの仕事は、このような食器からさらに空間で使われる家具までに及んでいます。

きりもとさん1
江戸時代後期から明治・大正時代は塗師屋、昭和の初めに朴木地屋を開業。七代目の桐本泰一さんは一度も家業を継いで欲しいと言われたことはなく、大学を出られてからオフィスメーカー勤務を経て漆器木地業の桐本木工所に自らの意思で入ります。朴木地の弟子修行の傍ら、産地の内部をしっかりと見渡し、暮らしで使うための木と漆モノを創作する活動を進め、二年前、前代表の死去に伴い、伝統工芸の世界にデザインの考え方を加え、「かたちを産みだす強みを活かした」木と漆の総合工房「輪島キリモト」を設立しました。
地元輪島を拠点に日本各地の百貨店から様々なイベント催事まで、輪島キリモトの漆器を伝えるために動いていて、そんな姿を息子さんたちも見ているようで、きっと次の世代にも自然に引き継がれていくのだと思います。
そして、ただ一度もこの仕事を嫌になったことや辛いと思ったことはないと話してくれました。
漆器の可能性、自分の生まれ育った輪島のうるしを全身で表現し、伝えてこられた桐本さん。少々熱が入ると目を潤ませて話す、うるしへの思いにみんな心打たれるのでしょう。すぐに桐本さんの魅力にとりこまれていていきます。今回参加ししてくれた方々に聞いてみました。桐本さんの魅力は ? ある人は「覚悟がちがいますよね」と。

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心を込めて、ひとつひとつ丁寧に作っている器。それは世代や国境も越え、多くの人たちに伝わっています。
老舗和菓子のとらやの直営店菓寮で使われている漆器も輪島キリモト。
これまで他にも多くの著名な場所や人とコラボレーションをされてきていますが、桐本さん本人はいたって気さくで人懐っこい人柄。輪島キリモトというブランドがどれだけ有名になっていっても、自分の立ち位置、考えがぶれない。だから初めて会った時から10年以上経ちますが全く変わらない桐本さんがいます。桐本さんの好きな言葉は「努力」。時代や周りがどんなに変わっても常に変わらないものを維持し、そして少しづつ革新を続けていく。その姿勢は、どんなことをやっている人にも共感できることなのだと思います。
著書「いつものうるし」という本があります。
普段使いで、気兼ねなく漆器を使って欲しいという思いがこめられています。
漆器、うるしに対して、見方がほんとに変わる。もっと身近にもっと楽しく。
そんな世界なんですね。
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今回もとても充実の会になりました。
桐本さん、みなさんありがとうございました !

輪島キリモト

*写真撮影Special Thanks / 関本明子さん & 竹尾有一さん 

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